# マルゴーの砂利の王冠に夕陽が灯る、シャトー・ディッサン2016年の気品

> シャトー・ディッサン2016年は、マルゴーのカントナックに根を張る1855年格付け第3級の赤ワインです。カベルネ・ソーヴィニヨンの凛とした骨格とメルロのしなやかさが溶け合い、黒系果実、花、杉、鉛筆の芯を思わせる気品を描きます。

## Metadata
- URL: https://winenes.com/reviews/-chateau-dissan-2016
- This file: https://winenes.com/reviews/-chateau-dissan-2016/md
- Published: 2026-10-24T09:02:29.006+00:00
- Updated: 2026-10-24T09:02:29.025235+00:00

## Wine
- Name: シャトー・ディッサン - Château d'Issan 2016
- Producer page: https://winenes.com/producers/producer-1783360958884
- Price (JPY): 17000〜23000

## Tasting Note
- Score: 96/100

## Article

## マルゴーの砂利の王冠に夕陽が灯る、シャトー・ディッサン2016年の気品

### シャトー・ディッサンという名門の歩み

シャトー・ディッサンは、ボルドー左岸の銘醸地マルゴーに属するカントナック村を代表するシャトーです。その歴史は12世紀にまでさかのぼるとされ、17世紀には現在の優美な城館の原型が築かれました。1644年、この地で挙式を挙げたと伝わるアンリ・ダルタニャン、すなわち『三銃士』のモデルになった人物の逸話も、シャトーの名を彩っています。

1855年のメドック格付けでは第3級に列せられました。長い歴史の間には品質の揺れも経験しましたが、1945年から所有に関わったクルーズ家、そして2013年に加わったロレンツェッティ家のもとで、畑と醸造設備への継続的な投資が行われてきました。現在はエマニュエル・クルーズが運営を担い、歴史的な優雅さを守りつつ、区画ごとの精密な仕事でTerroirを明瞭に映すことを目指しています。過度な抽出や樽香で印象を作るより、マルゴーらしい繊細な芳香と端正なタンニンを尊ぶ造り手として評価されています。

### Château d'Issan 2016を形づくるカントナックの砂利

グラン・ヴァンであるChâteau d'Issan 2016は、カベルネ・ソーヴィニヨン64％、メルロ36％のブレンドです。主力となる畑はシャトー周辺、カントナックの緩やかな砂利質台地にあり、深いガロンヌ由来の砂利と砂、粘土の層が複雑に重なります。水はけのよい砂利はカベルネの成熟を助け、粘土を含む区画はメルロに厚みと瑞々しさをもたらします。マルゴーAOC内でも、カントナックは骨格と芳香の均整に優れる場所として知られます。

収穫後は選果を徹底し、区画・品種ごとに温度管理されたタンクで発酵と醸しを実施します。ブレンドを決めた後、フレンチオーク樽でおよそ16〜18カ月熟成させ、新樽の比率は年によって調整されますが、概ね半量程度が用いられます。2016年は温暖で乾燥した夏の後、収穫期に好条件が整ったボルドーの秀作年です。評論家や愛好家の間でも、濃密さだけでなく、精度の高い酸とタンニンを備えた左岸らしいヴィンテージとして高く評価されています。

### グラスの中の物語

グラスでは、中心部に深みを残したガーネットから、縁にかけてルビーの輝きが見えます。若さを保つ色調でありながら、粘性は必要以上に重くなく、端正な造りを予感させます。第一香にはカシス、ブラックベリー、熟したチェリー、スミレが現れ、時間とともに杉、葉巻の箱、鉛筆の芯、黒鉛、ドライハーブ、ほのかな土のニュアンスが開いてきます。フレンチオーク由来のバニラや焙煎香は果実の後ろに控え、複雑さに寄与します。

アタックはしなやかで、黒系果実の密度を磨かれた酸が引き締めます。中盤ではメルロの丸みとカベルネのカシス感が重なり、きめ細かなタンニンが口中を静かに満たします。余韻にはスパイス、黒鉛、森の下草を思わせる風味が長く残り、塩味を帯びたミネラル感が輪郭を整えます。すでに楽しめる段階に入りつつありますが、適切なセラーで保管されたボトルは、今後10年以上をかけてさらに葉巻、腐葉土、トリュフのような熟成香を深めると期待されます。提供時は16〜18℃を目安に、若いボトルであれば1〜2時間のデキャンタージュも有効です。

### 食卓を彩る料理

このワインの均整には、赤身肉の旨味と香ばしさを軸にした料理がよく合います。第一に挙げたいのは、仔羊のロースを炭火で焼き、ローズマリーとにんにく、ジュのソースを添える一皿です。羊肉の脂とハーブ香が、カベルネのタンニンと杉のニュアンスを自然につなげます。

国産牛のイチボをローストし、赤ワインとエシャロットのソース、黒胡椒を合わせる料理も好相性です。過度に甘いソースは避け、肉の焼き目と肉汁を生かすことで、2016年の繊細な果実味が際立ちます。鴨胸肉のローストにポルチーニ茸のソテー、または鴨のソース・ペリグーを添える組み合わせもおすすめです。熟成由来の土っぽさときのこの風味が響き合います。さらに、牛すね肉を香味野菜、タイム、少量の赤ワインでゆっくり煮込むブフ・ブルギニョンも、タンニンを穏やかに見せる好例です。チーズなら、熟成コンテやハードタイプのミモレットが合わせやすいでしょう。

### カントナック村とマルゴーAOCの風土

マルゴーAOCはジロンド河口の左岸、ボルドー市の北西に位置し、マルゴー、カントナック、スーサン、アルサック、ラバルドの5コミューンにまたがります。シャトー・ディッサンの本拠はカントナック村にあり、河口からの温和な影響を受けながら、砂利の丘が冷気と余分な水分を逃がす環境にあります。表土の大粒の砂利は日中の熱を蓄え、地下の粘土や石灰質を含む層は乾燥期に樹へ水分を供給します。

同じマルゴーでも、河口に近い区画、内陸寄りの砂利台地、粘土の比率が高い場所では、ブドウの表情が異なります。ディッサンはこうしたモザイク状の区画を活用し、カベルネ・ソーヴィニヨンの香り高さと、メルロのふくらみを組み合わせます。約20,000円という市場価格は流通や保管状態で変動しますが、1855年格付けシャトーの2016年としては、マルゴーの伝統的な優美さと熟成の魅力に触れやすい一本です。

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_本レビューは公開されている専門家評価・市場情報を AI が集約した推定値であり、執筆者による実飲に基づくものではありません。_
