# パタゴニアの風と1932年の古樹が織る、Treinta y Dos 2017の静かな深紅

> Bodega ChacraのTreinta y Dos 2017は、アルゼンチン・パタゴニアのマインケに残る1932年植樹の古樹ピノ・ノワールによる一本です。冷涼な風土、低収量の自根樹、介入を抑えた醸造が、繊細さと奥行きを両立させています。

## Metadata
- URL: https://winenes.com/reviews/bodega-chacra-treinta-y-dos-2017
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- Published: 2026-10-10T04:02:32.424+00:00
- Updated: 2026-10-10T04:02:32.453076+00:00

## Wine
- Name: Bodega Chacra - Treinta y Dos 2017
- Producer page: https://winenes.com/producers/bodega-chacra
- Price (JPY): 61200〜82800

## Tasting Note
- Score: 97/100

## Article

## パタゴニアの風と1932年の古樹が織る、Treinta y Dos 2017の静かな深紅

### Bodega Chacraの歩み──リオ・ネグロに古樹の声を取り戻す

Bodega Chacra（ボデガ・チャクラ）は、イタリアの名門サッシカイアを興したインチーザ・デッラ・ロケッタ家のピエロ・インチーザ・デッラ・ロケッタが、2004年にアルゼンチン南部リオ・ネグロ州で設立したワイナリーです。ボルドー品種が主役になりやすいアルゼンチンにおいて、パタゴニアのピノ・ノワールを世界的な水準へ押し上げた存在として評価されています。

転機は、マインケ（Mainqué）周辺に残されていた古いピノ・ノワール畑との出会いでした。所有者が変わるなかでも生き延びた自根の古樹に可能性を見いだし、畑を取得。化学肥料や除草剤に依存しない有機栽培とビオディナミを軸に、土地本来の表情を引き出すことを哲学に据えています。ブルゴーニュの名門生産者ジャン・マルク・ルーローとの協働も、醸造と畑仕事の精度を語るうえで重要なエピソードです。

### Treinta y Dosが映す1932年植樹の自根ピノ・ノワール

「Treinta y Dos」はスペイン語で「32」を意味し、1932年に植えられた畑に由来するキュヴェです。マインケ近郊にある小区画の古樹から得る100％ピノ・ノワールで、接ぎ木をしていない自根樹が核となります。長い年月を経た樹は収量がきわめて低く、房は小さく凝縮する一方、過度な重さではなく、細部の複雑さをもたらすとされています。

畑はリオ・ネグロ川が形成した沖積土壌にあり、砂やシルト、石灰質を含む砂利が混じります。根が深く伸びること、乾燥した気候と冷たい風が病害を抑えることも、健全なブドウ栽培を支えます。醸造では区画ごとの個性を尊重し、野生酵母による発酵を基本に、コンクリートタンクとフレンチオーク樽を用いて熟成させます。新樽の香りで輪郭を覆うより、古樹とTerroirの緊張感を保つ穏やかな抽出と樽使いが、チャクラの一貫した方針です。清澄・濾過を最小限にとどめる年もあり、瓶内での熟成にも耐える構成を備えます。

2017年は、熟度と酸の釣り合いに優れ、Treinta y Dosの持ち味である精妙な赤い果実と土壌由来の陰影が表れやすい年と評されます。流通量は非常に限られ、日本での市場価格は状態や販売時期によって幅があるものの、おおむね72,000円前後が目安です。

### 香りと味わいの輪郭

グラスでは、縁に透明感を残す深いルビーからガーネット寄りの色調を見せます。粘性は過度に強くはないものの、古樹由来の密度を思わせる緩やかな脚が現れます。第一香はラズベリー、野イチゴ、赤スグリ、熟したチェリー。時間とともにバラの花弁、乾燥ハーブ、紅茶、森の下草、湿った土、黒胡椒、ほのかな燻香へと複雑に開いていきます。

アタックは絹のように滑らかでありながら、冷涼な酸が直線的な芯を与えます。中盤では赤系果実の甘酸っぱさに、ザクロ、オレンジピール、鉄分を思わせるニュアンス、細やかなタンニンが重なります。豊満さだけを誇示しない軽やかな運びのなかに、古樹らしい沈着な深みがあります。余韻は長く、塩味を伴うミネラル、紅茶、スパイス、土の気配が静かに残ります。供出温度は15〜17℃が適し、若さを保つボトルでは30分から1時間ほど前に抜栓すると、香りの層を捉えやすくなります。

### 食卓を彩る料理

このワインには、ピノ・ノワールの繊細な酸と旨味に寄り添う、香り高い料理が向きます。第一に、鴨胸肉のロースト、赤ワインとサワーチェリーのソースです。鴨の脂の甘みを酸が引き締め、果実味とソースが自然に響き合います。次に、仔羊背肉をローズマリーとにんにくでローストし、焼きナスのピュレを添える一皿。肉の滋味とハーブの香りを、ワインの土っぽさとスパイス感が受け止めます。

魚介なら、皮目を香ばしく焼いたサーモンに、きのこのデュクセルと焦がしバターを合わせる調理法も好相性です。肉料理以外では、ポルチーニ茸とパルミジャーノ・レッジャーノのリゾット、あるいは熟成したコンテやブリ・ド・モーも選択肢になります。強い甘辛味や唐辛子を前面に出すより、素材の旨味、茸、根菜、バター、出汁を生かした構成が理想的です。

### マインケとアルト・バジェ──リオ・ネグロ川が育む冷涼なパタゴニア

産地はアルゼンチン・リオ・ネグロ州のアルト・バジェ・デル・リオ・ネグロ（Alto Valle del Río Negro）で、Treinta y Dosの畑はマインケ村周辺、ヘネラル・ロカ県に位置します。行政上の原産地表示はリオ・ネグロですが、その個性を理解するには、ネウケン州境にも近いリオ・ネグロ川中流域の灌漑オアシスという地形に目を向ける必要があります。

アンデス山脈から遠く離れたパタゴニアの内陸部は、雨が少なく日照に恵まれる一方、昼夜の寒暖差が大きい地域です。南からの冷涼で乾いた風がブドウの成熟をゆっくりと進め、酸と芳香を保つことに貢献します。川が運んだ沖積層と古い砂利質のテラス、標高およそ250〜300メートルの開放的な景観が、マルベックの産地として知られるメンドーサとは異なる、軽やかで塩味を帯びたピノ・ノワールを形づくります。Treinta y Dosは、その土地に残った一本の畑の記憶を、現在へ伝えるCruとして位置づけられるでしょう。

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_本レビューは公開されている専門家評価・市場情報を AI が集約した推定値であり、執筆者による実飲に基づくものではありません。_
