# アンデスの石が夜を抱く、ボデガ・トラピチェのマルベック2019が描く深い輪郭

> 1883年創業のボデガ・トラピチェによるMalbec Terroir Seriesは、畑ごとの個性を表す単一畑マルベックのコレクションです。2019年は、アンデス山麓の冷涼な夜と石質土壌を思わせる、凝縮感と引き締まった酸を備える年と評価されています。

## Metadata
- URL: https://winenes.com/reviews/bodega-trapiche-malbec-terroir-series-2019
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- Published: 2026-09-24T00:02:55.806+00:00
- Updated: 2026-09-24T00:02:55.833107+00:00

## Wine
- Name: Bodega Trapiche - Malbec Terroir Series 2019
- Producer page: https://winenes.com/producers/bodega-trapiche
- Price (JPY): 10200〜13800

## Tasting Note
- Score: 88/100

## Article

## アンデスの石が夜を抱く、ボデガ・トラピチェのマルベック2019が描く深い輪郭

### ボデガ・トラピチェの歩み──1883年から続くメンドーサの開拓精神

ボデガ・トラピチェは、ティブルシオ・ベネガスにより1883年、メンドーサ県ゴドイ・クルスで創業された生産者です。アルゼンチンを代表する大手でありながら、畑の来歴、標高、土壌を掘り下げる姿勢で知られています。歴史的には、近代的な醸造設備の導入と、海外市場に向けたアルゼンチンワインの発信を早くから進めた造り手の一つです。

現在の拠点は、メンドーサ市の南東、マイプー県コキンビトに置かれています。大規模な生産者という印象だけでは捉え切れず、単一畑の表現に取り組む「Terroir Series」は、その哲学を端的に示すラインです。マルベックを一様な濃厚品種として扱うのではなく、アンデス山麓の場所ごとの声をボトルに刻むことを目指しています。

### Malbec Terroir Series──フィンカごとに表情を変えるマルベック

注意したいのは、Malbec Terroir Seriesが単一の畑名ではなく、トラピチェの単一畑マルベック群の総称として流通する点です。2019年には、ルハン・デ・クージョのフィンカ・コレット、ウコ・ヴァレー北部ガルタジャリのフィンカ・アンブロシア、同じくラ・コンスルタのフィンカ・オレジャーナなどが知られます。購入時にはラベルに記されたフィンカ名を確認すると、内容をより正確に読み取れます。

品種はいずれもマルベック100％が基本です。ブドウは区画ごとに収穫・選果され、醸造も畑の性格を損なわないようロット別に行われます。ヴィンテージやフィンカによって差はあるものの、温度管理した発酵後、フレンチオーク樽でおおむね12〜18か月前後熟成させるスタイルが中心です。新樽の甘い香りを前面に出すより、果実、タンニン、石質土壌由来の緊張感を整えるための熟成とされています。推定約12,000円という価格帯では、一般的なアルゼンチン・マルベックよりも、畑の個性に焦点を当てた一本です。

### 香りと味わいの輪郭

外観は、縁に紫を残す濃いルビーから黒みを帯びたガーネット。グラスの内側をゆっくり伝う粘性があり、十分な果実の成熟を感じさせます。第一香にはブラックベリー、カシス、熟したプラム、スミレが現れ、時間とともに黒コショウ、甘草、カカオ、杉、ほのかな燻香へと開いていきます。

アタックは豊かな黒系果実の甘みを伴いながら、重さだけに傾かないのがこのシリーズの持ち味です。中盤ではきめ細かなタンニンが骨格をつくり、フィンカ・アンブロシアなら石灰質土壌を思わせる張り、フィンカ・コレットなら丸みある果実味、ラ・コンスルタの畑ならハーブを思わせる端正さが表れやすいとされます。余韻にはダークチョコレート、ドライハーブ、砕いた石のようなニュアンスが残ります。2019年はメンドーサで健全な果実を得やすかった年の一つとされ、凝縮感と酸のバランスに期待が寄せられるヴィンテージです。

### 食卓を彩る料理

力強さとフレッシュさを併せ持つため、脂、焼き目、スパイスを備えた肉料理によく合います。第一に薦めたいのは、炭火で香ばしく焼いた牛リブロースのロースト、チミチュリを添えた一皿です。肉の脂を酸が受け止め、パセリやオレガノの青い香りがワインのハーブ香を引き立てます。

赤ワインと八丁味噌、赤ワインで煮込む牛ほほ肉の煮込みも好相性です。煮込みのゼラチン質とカカオを思わせる余韻が自然につながります。さらに、ラム肩肉をクミン、ローズマリー、ニンニクでマリネしてオーブン焼きにした料理、またはポルチーニ茸と熟成パルミジャーノを使ったリゾットも適しています。供出は16〜18℃を目安にし、若さが目立つ場合は30分から1時間ほどのデキャンタージュで香りをほどくとよいでしょう。

### ガルタジャリ、ラ・コンスルタ、ルハン・デ・クージョに広がるアンデス山麓

トラピチェのTerroir Seriesを理解する鍵は、メンドーサ県内でも大きく異なる畑の所在地にあります。ガルタジャリはトゥプンガト県、ウコ・ヴァレーの高標高地に位置し、昼夜の寒暖差、石灰質を含む沖積土壌、乾いた空気が特徴です。フィンカ・アンブロシアはこのエリアの名をラベルに掲げる代表例で、引き締まった酸とフローラルな輪郭を生みやすい場所とされています。

ラ・コンスルタはサン・カルロス県のウコ・ヴァレー南部にあり、アンデスから流れる水が運んだ砂、礫、沖積土壌が広がります。フィンカ・オレジャーナのような畑では、日中の成熟感と夜間の冷え込みによる香りの鮮度が両立しやすい環境です。一方、ルハン・デ・クージョはメンドーサ市の南方に広がる古典的銘醸地で、ペルドリエルやアグレロなどの地区を含みます。フィンカ・コレットはこの地域に根を張り、より豊かな果実味と滑らかな口当たりを示す傾向があります。一本の名称に隠れた畑名をたどることが、このシリーズを味わう最良の入口になります。

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_本レビューは公開されている専門家評価・市場情報を AI が集約した推定値であり、執筆者による実飲に基づくものではありません。_
