# 地中海の夕映えを瓶に封じた、タンピエ2017年バンドール・ロゼの深い余韻

> バンドールの歴史を語るうえで欠かせないドメーヌ・タンピエ。ムールヴェードルを軸とする2017年ロゼは、南仏の陽光を思わせる果実味に、塩味、ハーブ、熟成による奥行きを重ねます。気軽なロゼの枠を超え、食卓で真価を示す一本です。

## Metadata
- URL: https://winenes.com/reviews/domaine-tempier-bandol-2017
- This file: https://winenes.com/reviews/domaine-tempier-bandol-2017/md
- Published: 2026-10-23T00:02:43.621+00:00
- Updated: 2026-10-23T00:02:43.642202+00:00

## Wine
- Name: Domaine Tempier - Bandol 2017
- Region: バンドール (https://winenes.com/regions/bandol)
- Producer page: https://winenes.com/producers/domaine-tempier
- Price (JPY): 13600〜18400

## Tasting Note
- Score: 92/100

## Article

## 地中海の夕映えを瓶に封じた、2017年バンドール・ロゼの深い余韻

### ドメーヌ・タンピエの歩み――バンドールにムールヴェードルを掲げた家

ドメーヌ・タンピエは、プロヴァンスのル・カステレ村に拠点を置く、1834年創業の生産者です。今日の名声を決定づけたのは、1930年代にドメーヌを継いだリュシアン・ペイローと、タンピエ家出身の妻リュリュです。当時、収量が低く栽培の難しいムールヴェードルは見捨てられかけていましたが、リュシアンはこの品種こそバンドールの核になると確信し、古木の保全と再植樹に尽力しました。

その働きは、1941年に認定されたバンドールAOCの個性を形づくるうえでも大きな意味を持ったとされています。ペイロー夫妻の食卓には、生産者、料理人、輸入業者が集い、土地のワインを語り合う文化がありました。現在は家族がその精神を継承し、畑ごとのTerroirを尊重するワイン造りを続けています。ラ・ミグア、ラ・トゥルティーヌ、カバッサウなど、区画名で知られる赤ワインが象徴的ですが、ロゼにもまた、この地の力強い骨格が明確に表れます。

### バンドール・ロゼを支えるムールヴェードルと石灰質の畑

ドメーヌ・タンピエのバンドール・ロゼは、ムールヴェードルを約55％の主役に据え、グルナッシュ約25％、サンソー約20％を合わせることが多いキュヴェです。年により比率は調整されますが、ムールヴェードルがもたらす野趣、構造、熟成への強さを、グルナッシュの充実した果実味とサンソーの軽やかな芳香で整える設計です。

ブドウはル・カステレ周辺を中心とする自社畑から収穫されます。石灰岩、粘土、砂岩や泥灰土が入り交じる斜面では、水はけと保水性の均衡が取れ、乾燥しやすい南仏でもブドウはゆっくりと成熟します。手摘みした果実は、色を過度に引き出さないようダイレクト・プレスを基本とし、温度管理下で発酵。ステンレスタンクやコンクリート槽を主に用い、果実の鮮度を守りながら数カ月をかけて落ち着かせます。新樽の風味を前面に出さず、品種と土地の表情を素直に届ける方針です。

2017年は南仏で暑く乾燥した生育期となった年で、収量には厳しさがあった一方、健全な果実から密度のあるワインが生まれたと評価されます。リリース後も変化を続けるタンピエのロゼにとって、熟度と張りの釣り合いが見どころです。市場では熟成を経たボトルとして約16,000円が目安ですが、輸入時期、液面、保管状態によって価格と価値は大きく変わります。

### グラスの中の物語

外観は、淡いサーモンピンクから、熟成によりわずかに銅色を帯びたアプリコット色へと移ろいます。粘性は軽快一辺倒ではなく、グラスの内側をゆるやかに伝う、凝縮感を感じさせるものです。第一香にはピンクグレープフルーツ、熟した白桃、ザクロ、赤スグリが現れ、時間とともにフェンネル、タイム、ローズマリー、乾いたオレンジピール、潮風を思わせるニュアンスが開いてきます。

口に含むと、アタックは丸みのある赤い果実と柑橘の酸が同時に広がります。中盤ではムールヴェードル由来のほのかな土っぽさ、スパイス、塩味が輪郭を与え、単純なフルーティーさでは終わりません。2017年は熟した果実の厚みを感じさせつつも、バンドールらしい苦味と引き締まった酸が軸を保ちます。余韻にはドライハーブ、白胡椒、柑橘の皮のほろ苦さが長く残ります。若いロゼの爽快さを保ちながら、数年の瓶熟成による複雑さを楽しめる点が、この銘柄の魅力です。

### 食卓を彩る地中海料理と和の一皿

最初に合わせたいのは、アイオリを添えたブイヤベースです。サフランを効かせた魚介のスープ、白身魚、ムール貝の旨味に、ワインの塩味と柑橘のニュアンスが自然につながります。次に、仔羊の肩肉をニンニク、ローズマリー、黒オリーブとともにオーブンでじっくり焼く一皿。肉の脂と香ばしさを受け止めながら、ムールヴェードル由来のスパイス感がハーブと響き合います。

和食なら、桜エビと新玉ねぎのかき揚げ、あるいは鰹の藁焼きを薬味と柑橘醤油で仕立てた料理が好相性です。揚げ油のコクにはロゼの酸と苦味が、鰹の燻香には熟成によるハーブ香が寄り添います。さらに、トマト、ズッキーニ、パプリカをオリーブオイルで煮込むラタトゥイユに鶏もも肉のローストを添えてもよいでしょう。8〜10℃ほどから供し、温度が上がるにつれて表情が変わる様子を追うのがおすすめです。

### ル・カステレとバンドールAOC、石灰岩の丘から海へ

バンドールAOCは、地中海に面するヴァール県のバンドール、ル・カステレ、ラ・カディエール・ダジュール、ル・ボーセ、サナリー・シュル・メール、サン・シル・シュル・メールなどに広がります。名称の中心に港町バンドールがありますが、銘醸畑の多くは海岸そのものではなく、内陸へ連なる石灰質の丘陵と段々畑に位置します。タンピエの本拠、ル・プラン・デュ・カステレもその一角です。

北側にはサント・ボーム山塊が控え、畑は海からの光と風を受けます。夏の乾燥を和らげる海風、湿気を払い病害を抑えるミストラル、日中の暖かさと夜間の冷え込みが、完熟と酸の両立を助けます。ラ・ミグアの粘土と石灰岩、ラ・トゥルティーヌの石灰質で海に近い斜面、カバッサウの力強い土壌は、同じドメーヌ内でも異なるCru的個性を見せる場所です。バンドール・ロゼはそれらの土地に根差す果実を束ね、地中海の明るさだけでなく、岩、風、ハーブ、塩気までを映し出します。

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_本レビューは公開されている専門家評価・市場情報を AI が集約した推定値であり、執筆者による実飲に基づくものではありません。_
