# 地中海の碧を映す、ドメーヌ・タンピエ2021バンドール・ロゼの静かな深み

> プロヴァンスのバンドールでムールヴェードルの価値を世界に知らしめたドメーヌ・タンピエ。そのロゼは淡い色合いの奥に、柑橘、野のハーブ、塩味、緻密な骨格を備えます。2021年の端正な表情を、畑と食卓の視点から読み解きます。

## Metadata
- URL: https://winenes.com/reviews/domaine-tempier-bandol-rose-2021
- This file: https://winenes.com/reviews/domaine-tempier-bandol-rose-2021/md
- Published: 2026-10-02T00:02:42.6+00:00
- Updated: 2026-10-02T00:02:42.618662+00:00

## Wine
- Name: Domaine Tempier - Bandol Rosé 2021
- Region: バンドール (https://winenes.com/regions/bandol)
- Producer page: https://winenes.com/producers/domaine-tempier
- Price (JPY): 5950〜8050

## Tasting Note
- Score: 92/100

## Article

## 地中海の碧を映す、2021バンドール・ロゼの静かな深み

南仏ロゼの代名詞として親しまれるプロヴァンスにあって、ドメーヌ・タンピエのバンドール・ロゼはひときわ輪郭の深い一本です。淡いサーモン色から想像される軽快さだけで終わらず、ムールヴェードル由来の香り、石灰岩土壌の塩味、食事に寄り添う張りを備えています。2021年は、華美な果実味よりもフレッシュさと端正なバランスが印象に残る年とされ、タンピエらしい滋味を穏やかに映すヴィンテージです。

### ドメーヌ・タンピエの歩み――ムールヴェードルを守った家族

ドメーヌ・タンピエの歴史は1834年にさかのぼります。バンドールの内陸側、ル・プラン・デュ・カステレを拠点とするこの家は、第二次世界大戦後にルシアン・ペローと妻リュシー・タンピエが畑とワインの再生に尽力したことで、現在の名声を築きました。当時は収量が低く栽培の難しいムールヴェードルを他品種へ植え替える動きもありましたが、ペロー家は古木を守り、その可能性を訴え続けます。

その姿勢は、ムールヴェードルを主軸に据えるバンドールの個性を内外へ伝える大きな力になりました。現在はペロー家の次世代が運営を担い、化学肥料や除草剤への依存を抑えた栽培を継続しています。単一区画のラ・ミグア、ラ・トゥルティーヌ、カバスーなど、熟成型赤の名作でも知られる同家は、地域を代表する生産者、そしてバンドールの基準点の一つと評価されています。

### Bandol Roséに息づくムールヴェードルと石灰岩

このBandol Roséは、ムールヴェードルを約55％中心に、グルナッシュ約25％、サンソー約20％を組み合わせるのが基本です。比率は収穫年によって微調整されますが、ムールヴェードルが骨格とスパイス、グルナッシュが果実の広がり、サンソーが軽やかな香気を受け持ちます。ブドウはル・カステレ、サント・タンヌ・デヴノス、ラ・カディエール・ダジュール周辺を含む自社畑から収穫され、石灰岩、粘土、砂岩、泥灰土が複雑に交わる斜面や段丘の表情がブレンドに織り込まれます。

収穫は手作業で行われ、ロゼは短時間のスキンコンタクトではなく、主にダイレクト・プレスによって淡く清澄な果汁を得ます。果実の鮮度を守りながら発酵させ、ステンレスタンクやコンクリート槽を主体に休ませる、過度な樽香に頼らない仕立てです。こうして果実味を前に出しすぎず、土地と品種がもたらすほろ苦さ、塩気、持続力を表現します。国内での市場価格はおおむね7,000円前後が目安で、単なるアペリティフ向けを超えたロゼとして支持される理由がここにあります。

### グラスの中の物語

外観は、玉ねぎの皮を思わせる淡いサーモンピンクから、わずかに銅色を帯びるローズ色。粘性は中程度で、グラスの内側を流れる液体には軽快さとともに、密度を予感させる落ち着きがあります。注ぎたての第一香では、グレープフルーツ、レモンの皮、白桃、赤スグリが伸び、フェンネルやローズマリーを思わせる地中海性ハーブが重なります。

空気に触れると、熟したイチゴ、アプリコット、白い花、アーモンドのニュアンスに加え、濡れた石や潮風のようなミネラル感が現れます。アタックはみずみずしく引き締まり、柑橘を思わせる酸が味わいの軸をつくります。中盤では果実のふくらみとムールヴェードルらしい穏やかなスパイス、かすかなタンニンが立体感を与え、余韻には柑橘の皮のほろ苦さと塩味が長く残ります。8〜10℃程度で始め、少し温度が上がる過程も楽しむと、香りと旨味の層が見えやすくなります。

### 食卓を彩る地中海と日本の一皿

繊細さと芯の強さを兼ねるため、前菜から魚介、白身肉まで受け止める懐の広さがあります。まず合わせたいのは、アイオリを添えたスズキや真鯛の炭火焼きです。魚の皮目の香ばしさにワインのハーブ香が呼応し、にんにくを含むソースを酸と塩味が整えます。サフランを効かせ、ムール貝、エビ、イカを加えたブイヤベースも好相性で、出汁の旨味にロゼのほろ苦さが奥行きを与えます。

日本の食卓なら、桜エビと新玉ねぎのかき揚げ、すだちを搾った一皿がおすすめです。油の甘みを酸が切り、甲殻類の風味を果実味が引き立てます。さらに、豚肩ロースをフェンネルシードとレモンでマリネしてローストした料理、またはトマト、オリーブ、ケッパーを使う鶏もも肉のプロヴァンス風煮込みにもよく合います。濃厚なクリームソースより、オリーブ油、柑橘、ハーブを生かした調理がこのワインの輪郭を鮮明にします。

### ル・カステレから広がるバンドールAOCの石灰質斜面

バンドールAOCは地中海に面するヴァール県西部、バンドール、サナリー・シュル・メール、ル・ボーセ、ラ・カディエール・ダジュール、ル・カステレ、サント・タンヌ・デヴノスなど8つのコミューンにまたがります。名称の由来となった港町バンドールの背後には、サント・ボーム山塊から連なる起伏が広がり、畑は海からの光を受ける斜面や、石積みのテラスに点在します。

ドメーヌ・タンピエの本拠ル・プラン・デュ・カステレは、ル・カステレ村の近くに位置します。夏は乾燥して日照に恵まれ、海からの風が暑さを和らげる一方、ミストラルが畑を乾かして病害を抑えます。石灰岩と粘土は保水性と緊張感を両立させ、暑さを好むムールヴェードルをゆっくり成熟へ導きます。バンドールは赤ワインの長期熟成力で名高い土地ですが、同じTerroirはロゼにも骨格と熟成の余地を授けます。2021年は若いうちの鮮烈さを楽しみつつ、数年の瓶熟成でハーブやナッツのニュアンスを深める可能性も期待されます。

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_本レビューは公開されている専門家評価・市場情報を AI が集約した推定値であり、執筆者による実飲に基づくものではありません。_
