# 夕陽の赤土が描く、ペンフォールズRWTビン798シラーズ2021の深い旋律

> ペンフォールズのRWT Bin 798 Shiraz 2021は、バロッサ・ヴァレーの力強さと洗練を高い次元で結びつけた一本です。芳醇な果実味に、オーク由来の深みと緻密な構造が重なり、同社のフラッグシップ的シラーズとしての存在感を示します。

## Metadata
- URL: https://winenes.com/reviews/penfolds-rwt-bin-798-shiraz-2021
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- Published: 2026-06-16T09:01:02.238+00:00
- Updated: 2026-06-24T03:15:30.108912+00:00

## Wine
- Name: Penfolds - RWT Bin 798 Shiraz 2021
- Region: South Australia (https://winenes.com/regions/south-australia)
- Producer page: https://winenes.com/producers/penfolds

## Tasting Note
- Score: 95/100

## Article

<h2>夕陽に染まる赤土、静かに響くシラーズの金管</h2>
<h3>Penfoldsという名門が築いた揺るぎない系譜</h3>
<p>ペンフォールズは1844年、イギリス出身の医師クリストファー・ローソン・ペンフォールドが南オーストラリアで創業しました。もともとは医療用の酒精強化ワインを手がけた歴史を持ち、その後、品質本位の姿勢でオーストラリアワインを世界水準へ押し上げてきた名門です。とりわけバロッサ・ヴァレーを含む南オーストラリアのシラーズにおいては、力強さと緻密さを両立させるスタイルで広く知られています。</p>
<p>同社を語るうえで欠かせないのが、「原産地を越えたブレンド」による一貫した品質追求です。複数畑の個性を巧みに束ね、年ごとの表情を保ちながらもペンフォールズらしさを崩さない設計は、長年にわたり高い評価を受けてきました。RWTもまた、その哲学の延長線上にある銘柄です。</p>
<h3>RWT Bin 798 Shirazが映す、バロッサの純度と緊張感</h3>
<p>RWTの「RWT」は「Red Winemaking Trial」の頭文字に由来し、当初は実験的な試みとして始まった銘柄でした。現在ではバロッサ・ヴァレー産シラーズを中心に、より繊細で香り高く、タンニンを磨き上げたスタイルを示す高級キュヴェとして位置づけられています。Bin 798という番号も、ペンフォールズの通し番号文化を受け継ぐものです。</p>
<p>2021年ヴィンテージは、バロッサでは収穫期に比較的健全な果実が得られた年とされ、凝縮感と酸の張りが両立しやすい傾向があったといわれています。RWT Bin 798 Shiraz 2021は、そうした年らしい密度を備えつつ、過度に重たくならない洗練を狙った一本です。シラーズは主にバロッサ・ヴァレーの成熟した区画由来で、樹齢の高いブドウ樹や、赤い砂質土壌、鉄分を含む土壌が果実の芯に奥行きを与えると考えられています。醸造では温度管理下での発酵と、フレンチオーク樽での熟成が重要で、新樽比率を抑えめにしながらも、香りと骨格を丁寧に重ねる方針が特徴です。</p>
<h3>グラスの中の物語</h3>
<p>グラスに注ぐと、色調は濃いルビーから深いガーネットへと沈み、縁にはわずかに紫が残ります。粘性は高めで、ゆっくりとした脚がゆたかな凝縮感を示します。第一香ではブラックベリー、カシス、熟したプラムが前面に現れ、次いでスミレ、杉、黒胡椒、リコリスが立ち上がります。空気に触れると、ダークチョコレート、焙煎コーヒー、ドライハーブ、スモーキーな樽香が重なり、果実の輪郭に複雑さが増します。</p>
<p>口に含むと、アタックは滑らかで、熟した果実の厚みがまず印象を残します。中盤では、しなやかな酸が全体を引き締め、シルキーなタンニンが層を形づくります。重心は低いものの、ただ濃いだけではなく、黒系果実とミネラル感、オーク由来の甘やかなスパイスが精密に編み込まれています。余韻は長く、カカオ、スパイス、わずかな塩味を帯びた旨みが静かに続きます。評価としては、力感とエレガンスを両立した2021年らしい完成度の高いヴィンテージとして受け止められることが多く、約35,000円という市場価格にも相応の説得力があります。</p>
<h3>食卓を彩る料理</h3>
<p>このワインには、脂と旨みを備えた肉料理がよく寄り添います。たとえば、仔羊のロースト・ローズマリー風味は、シラーズの黒胡椒感と見事に重なります。さらに、牛ほほ肉の赤ワイン煮込み・根菜添えは、ワインの厚みと長い余韻を受け止めます。もう一品挙げるなら、黒トリュフを添えた和牛のグリル・赤ワインソースが好相性です。ほかにも、鹿肉のローストや、燻製パプリカを効かせたラムチョップもよく合います。</p>
<h3>バロッサ・ヴァレー、タヌンダの丘が育む深い日差し</h3>
<p>産地の中心となるバロッサ・ヴァレーは、南オーストラリア州アデレードの北東に広がる銘醸地で、タヌンダやヌリオットパ、アンガストンといった町を擁します。温暖で乾燥した地中海性気候に恵まれ、昼夜の寒暖差が果実の熟度と酸を両立させやすい土地です。とくに古い樹齢のシラーズが残る区画では、深い凝縮感と土地の個性が両立し、世界でも屈指の赤ワイン産地として認知されています。</p>
<p>バロッサの土壌は、赤褐色の粘土、砂質ローム、鉄分を含む土壌が複雑に入り組み、区画ごとに表情が異なります。こうしたテロワールは、RWTのように果実の純度を際立たせながら、樽とタンニンの設計で上質さを引き出すスタイルに非常に適しています。ペンフォールズRWT Bin 798 Shiraz 2021は、バロッサの太陽をそのまま詰め込んだようでいて、最後には精緻な彫刻のような静けさを残します。</p>
