モンタルチーノ南西部、サンタンジェロ・イン・コッレに広がるコル・ドルチャのブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2015。温暖で均整の取れた年に育ったサンジョヴェーゼは、黒系果実、乾いたハーブ、土の気配を重ね、長い熟成に応える骨格を備えています。

コル・ドルチャ(Col d'Orcia)は、モンタルチーノ南西部のサンタンジェロ・イン・コッレ地区に本拠を置く歴史的な生産者です。エステートとしての起源は1890年にさかのぼり、1973年にフランチェスコ・マルオーネ・チネッリ・コロンビーニが取得して以降、ブルネッロの品質向上と畑の個性の表現を軸に歩んできました。名前は「オルチャ川を望む丘」を意味し、その名の通りヴァル・ドルチャの大きな景観の中に畑を構えます。
同家は、量ではなく土地の長期的な健全性を優先する姿勢で知られます。コル・ドルチャは2010年に所有畑の有機栽培認証を取得しており、モンタルチーノでも早くから大規模にオーガニック農法を実践した造り手の一つです。看板キュヴェの単一畑ブルネッロ「ポッジョ・アル・ヴェント」も擁し、伝統的な大樽熟成を基調とする端正で長命なスタイルによって、地域の名門として認識されています。
Brunello di Montalcinoは、モンタルチーノDOCGの規定に従い、サンジョヴェーゼ100%で造られます。当地では伝統的にブルネッロと呼ばれてきた、果皮が厚く凝縮感を得やすいサンジョヴェーゼの系統が基盤です。コル・ドルチャの畑は海抜約300〜450メートルに位置し、南から南西向きの斜面を中心に広がります。石灰質を含む粘土、砂、ガレストロなどが混じる土壌と、日照を受けながらも夜間に冷える環境が、熟した果実味と酸、細かなタンニンを両立させます。
収穫後は温度管理したステンレスタンクで果皮とともに発酵させ、長めのマセラシオンで色素と骨格を抽出します。その後、主として大容量のスラヴォニア産およびフランス産オーク樽で約3年熟成し、瓶内でも時間を与えてから出荷する方針です。小樽の甘い風味を前面に出すのではなく、酸化を穏やかに進め、サンジョヴェーゼとTerroirの輪郭を整える造りといえます。2015年はトスカーナで成熟度と酸の釣り合いに恵まれた優良年と評価されることが多く、このワインにも量感と緊張感が同居しています。
外観は、中心に深みのあるガーネットを湛え、縁には熟成を示す透明なルビーから淡い煉瓦色のニュアンスが現れます。粘性は中程度からやや高めで、グラスの内側をゆっくりと伝う脚に、成熟した果実の密度がうかがえます。
第一香ではブラックチェリー、サワーチェリー、プラム、赤いオレンジの皮が現れ、時間とともにドライローズ、スミレ、地中海性のローズマリー、タバコ、なめし革、バルサミコ、湿った土へと表情を深めます。アタックは引き締まっており、熟した黒赤系果実を鮮明な酸が支えます。中盤では細粒ながら豊富なタンニンが広がり、土っぽさ、スパイス、樽由来の杉のニュアンスが果実に溶け込みます。余韻は長く、塩味を思わせるミネラルと乾いたハーブのほろ苦さが残ります。すでに飲み頃に入っていますが、適切な保存下ではさらに複雑さを増す可能性があるとされます。希望小売価格とは別に、国内で約85,000円の市場価格が見られる場合は、熟成在庫の希少性や流通条件を十分に確認したいところです。
このブルネッロには、タンニンを受け止めるたんぱく質と、酸を生かす旨味のある料理がよく合います。まず、ローズマリー、ニンニク、フェンネルシードで香りを付けた仔羊の肩肉のローストがおすすめです。表面を香ばしく焼き、肉汁を赤ワインで煮詰めたソースを添えると、ワインのハーブ香と黒系果実のニュアンスが響き合います。
トスカーナらしく、イノシシ肉を赤ワイン、トマト、ジュニパーベリーで長時間煮込むパッパルデッレ・アル・チンギアーレも好相性です。熟成香と野性味が自然につながります。さらに、牛頬肉のブラザート、あるいはポルチーニ茸とパルミジャーノ・レッジャーノを使ったリゾットもよい組み合わせです。熟成したペコリーノ・トスカーノや、トリュフを削った鴨胸肉のローストも、余韻の複雑さを引き立てます。供出温度は16〜18度を目安にし、飲む1〜2時間前の抜栓またはデキャンタージュで香りを開かせるとよいでしょう。
モンタルチーノはシエナ県南部、世界遺産ヴァル・ドルチャを見下ろす丘上の市です。ブルネッロ・ディ・モンタルチーノDOCGの生産域はこのコムーネ全域に及びますが、標高、斜面の向き、土壌、ティレニア海からの距離によって表情は大きく異なります。北側のモンタルチーノ町周辺は比較的冷涼で繊細な酸を保ちやすい一方、コル・ドルチャのある南西部サンタンジェロ・イン・コッレは、日照量が多く成熟度のある果実を得やすいエリアです。
ただし、オルチャ川の谷から抜ける風と標高が暑さを和らげ、単純に力強いだけではない緊張感をワインにもたらします。周囲にはカステッロ・バンフィ方面、サンタンジェロ・スカーロ周辺の丘陵も連なり、森林、オリーヴ畑、ブドウ畑が交錯します。ユネスコ世界遺産の景観を形づくるこの土地で、コル・ドルチャは南部モンタルチーノの豊かさを、酸と土壌由来のニュアンスを失わないクラシックなブルネッロへと結実させています。
本レビューは公開されている専門家評価・市場情報を AI が集約した推定値であり、執筆者による実飲に基づくものではありません。