ブルゴーニュの丘コルトンに広がる、ドメーヌ・フェヴレの象徴的な特級畑。2017年は赤系果実の鮮烈さ、石灰岩由来の緊張感、端正に磨かれたタンニンが調和する年です。歴史ある生産者の哲学と、畑・醸造・ペアリングを詳しく紐解きます。

ドメーヌ・フェヴレは1825年、ピエール・フェヴレによってニュイ・サン・ジョルジュに創設された、ブルゴーニュを代表する歴史的ドメーヌです。19世紀から自社畑を着実に取得し、現在ではコート・ド・ニュイとコート・ド・ボーヌに広範な特級畑、1級畑を所有します。ネゴシアンとしての活動も行いながら、自社畑の個性を明瞭に示すドメーヌ部門は、とりわけ愛好家から高く評価されています。
同家にとって重要な転機の一つが、1874年のコルトンのクロ取得です。以来、家族が長期にわたりこの区画を守り、土地の名をラベルに刻んできました。2005年以降はエルヴァン・フェヴレのもとで畑仕事と醸造設備への投資を進め、果実の純度とTerroirの表現を重視するスタイルを明確にしています。力強さを備えつつ、過度に重くはならない端正さが、フェヴレのグラン・クリュに通底する持ち味です。
市場では「Clos de Corton Faiveley」と表記されることがありますが、ドメーヌの正式なキュヴェ名は一般に「Clos des Cortons Faiveley」です。AOCコルトンのグラン・クリュに属し、フェヴレが単独所有する約4.7ヘクタールのクロ(石垣に囲まれた畑)から生まれます。コルトンの丘の北東側、ラドワ・セリニー村域を中心とする斜面にあり、褐色の石灰質土壌と粘土、場所によって現れる泥灰土が、ピノ・ノワールに骨格と冷涼な緊張感を与えます。
品種はピノ・ノワール100%です。収穫したブドウは選果を経て発酵槽へ運ばれ、ヴィンテージの果実の状態を見極めながら除梗の比率を調整します。温度管理した発酵と果皮浸漬により色素、香り、タンニンを穏やかに引き出し、圧搾後はフレンチオーク樽で熟成されます。新樽は香りを前面に出すためではなく、コルトンらしい密度とタンニンを包み、長期熟成に耐える構造を整える役割を担います。2017年は、ブルゴーニュ全体では豊かな収量と健全な果実を得やすかった年で、早くから近づきやすい魅力と熟成能力を併せ持つと評価される傾向があります。市場価格は流通条件により差がありますが、約75,000円がひとつの目安です。
外観は深みのあるルビーからガーネットを帯びる赤で、グラスの縁にはまだ若々しい紫がかったニュアンスを残します。粘性は中程度からやや高めで、濃縮感がありながら重苦しくない印象です。第一香ではブラックチェリー、野イチゴ、赤スグリ、スミレが現れ、時間とともにバラのドライフラワー、甘草、クローヴ、森の下草、鉄分を思わせるミネラル香へと開いていきます。
アタックは2017年らしい熟した赤黒系果実の親しみやすさを見せますが、すぐにコルトンらしい石灰質の張りと、きめ細かなタンニンが輪郭を与えます。中盤ではチェリーの核を思わせるほろ苦さ、紅茶、土っぽい複雑味が重なり、樽由来のスパイスは果実の背後で控えめに溶け込みます。余韻は長く、塩味を伴うミネラル感と乾いたバラ、シダーのニュアンスが残ります。供出するなら16〜18℃程度が適温で、若い段階ではデキャンタージュによって香りがほどけやすくなります。熟成によってはジビエ、トリュフ、腐葉土のような第三アロマがいっそう顕著になるでしょう。
このワインの緻密なタンニンと酸は、脂の旨味を備えた肉料理、きのこや根菜の香ばしさと好相性です。まず挙げたいのは、鴨胸肉のロースト、赤ワインとグリオットチェリーのソースです。鴨の鉄分を思わせる風味がコルトンの土壌的なニュアンスと響き合い、ソースの酸味が果実味を引き立てます。
次に、仔羊背肉をロゼに焼き、タイム、黒オリーブ、ジュを添える一皿もよく合います。焼き目の香ばしさと羊の脂に対し、ワインの酸とタンニンが口中を整えます。秋冬なら、蝦夷鹿のロティにセップ茸のソテー、根セロリのピュレを合わせると、熟成によって現れる森の下草やスパイスの表情まで楽しめます。肉以外では、鶏もも肉とモリーユ茸のクリーム煮も有力です。ただしクリームを重くしすぎず、鶏のフォンと白ワインで軽やかに仕上げると、繊細な香りを損ないません。
コルトンの丘は、コート・ドールでも数少ない独立した大きな丘陵で、アロース・コルトン、ペルナン・ヴェルジュレス、ラドワ・セリニーの3村にまたがります。赤のCorton Grand Cruと、白のCorton-Charlemagne Grand Cruを同じ丘が抱くという点でも特別な場所です。Clos des Cortons Faiveleyはラドワ・セリニー側に位置し、斜面の向き、高度、土壌の差異が複雑に交差するコルトンの多面的な表情を映します。
丘の上部には白ワインで名高いル・シャルルマーニュやアン・シャルルマーニュなどのClimatが連なり、より下方から中腹には赤のコルトンを構成する多様な区画が展開します。コルトンの赤は、ヴォルネイのような軽やかな香気とも、ジュヴレ・シャンベルタンのような厳格な骨格とも異なる、肉厚さと鉱物的な緊張を併せ持つとされます。冷涼な大陸性気候、石灰岩の母岩、丘を巡る風が、2017年の豊かな果実を引き締め、フェヴレのクロに長い時間軸を与えています。
本レビューは公開されている専門家評価・市場情報を AI が集約した推定値であり、執筆者による実飲に基づくものではありません。