Costa LazaridiのOenotria Land Cabernet Sauvignon-Agiorgitiko 2022は、国際品種カベルネ・ソーヴィニヨンとギリシャ固有品種アギオルギティコを結ぶ赤ワインです。生産者の本拠はドラマにありながら、銘柄の核となる畑はアッティカ州カパンデリティに位置します。

Costa Lazaridi(コスタ・ラザリディ)は、コスタス・ラザリディによって1992年に創設された生産者です。本拠を置くのは、ギリシャ北東部・東マケドニア=トラキア地方のドラマ県アドリアニ地区です。1980年代末以降に進んだドラマの品質志向ワイン造りを象徴する造り手の一つとして知られ、土着品種と国際品種の双方を、品種の個性だけに頼らずTerroirと醸造技術から表現してきました。
同社の歩みを語るうえで重要なのが、アッティカ州北部に築いたOenotria Landです。古代ローマ時代にイタリアを指した「エノトリア=ワインの国」という言葉を冠し、ブドウ畑、醸造施設、ワイン文化を伝える空間を一体化させたプロジェクトとして展開されてきました。ドラマの冷涼感ある内陸的な条件と、アッティカの陽光に恵まれた畑を併せ持つことは、Costa Lazaridiの視野の広さを端的に示すエピソードです。蒸留酒や甘口ワインにも取り組む一方、食卓に根差す端正な辛口ワインを継続的に手がけている点も、同社の確かな位置づけにつながっています。
Oenotria Land Cabernet Sauvignon-Agiorgitiko 2022は、カベルネ・ソーヴィニヨンと、ネメアを代表産地とするギリシャ固有の黒ブドウ、アギオルギティコを組み合わせた赤ワインです。前者はカシスや杉、しっかりした骨格とタンニンをもたらし、後者は赤い果実、熟したプラム、丸みのある質感を担うとされます。この補完関係が、品種名を正面から掲げる本銘柄の核です。
ブドウの主な供給源となるOenotria Landの畑は、アッティカ州カパンデリティ周辺にあります。個々の区画名やブレンド比率は広く詳細に公表されていませんが、首都アテネの北に広がる内陸寄りの標高を持つエリアで、昼間の強い日照と夜間の気温低下を利用し、完熟感と酸の均衡を目指す畑です。2022年は、熟度を得たカベルネにアギオルギティコのしなやかさを重ねるヴィンテージとして読むことができます。
醸造では、除梗・破砕した果実を用いて果皮と果汁を接触させながら赤ワイン発酵を行い、色素とタンニンを抽出します。その後はオーク樽で熟成させ、果実の輪郭にスパイス香と構造を与えるスタイルです。樽香を前面に押し出すよりも、二品種の果実味、酸、タンニンをまとめるために樽を用いる造りといえます。供給ロットによって仕様表記に差が生じる可能性はあるものの、この銘柄は樽熟成を経た、バランス重視の赤として評価されています。
外観は、中心部に深みを備えたルビーからガーネット寄りの赤。2022年の若さを映す紫がかったニュアンスも見られ、グラスの内側をゆっくりと流れる粘性は、中程度からやや豊かな果実の密度を予感させます。第一香ではカシス、ブラックチェリー、熟したプラムが現れ、乾燥したローリエや黒コショウ、ほのかなミントがそれに続きます。
空気に触れて開くにつれ、バニラ、クローヴ、杉、カカオを思わせる樽由来の要素が果実の奥行きに溶け込みます。アタックはなめらかで、黒系果実の充実感をアギオルギティコらしい赤い果実の明るさが支えます。中盤ではカベルネ・ソーヴィニヨン由来の引き締まったタンニンと酸が輪郭をつくり、単に甘やかなだけではない、地中海らしい乾いたハーブのニュアンスへと移ります。余韻にはブラックベリー、甘草、焙煎したコーヒー豆を思わせるほろ苦さが残り、若いうちはデキャンタージュ、あるいは大ぶりのグラスで供すると表情がほどけやすいでしょう。
果実の厚みと樽由来の風味、ほどよく存在感のあるタンニンを持つため、焼き目や煮込みによる香ばしさを備えた肉料理と好相性です。第一の候補は、ローズマリーとにんにくをすり込んで炭火焼きにしたラムチョップです。仔羊の脂の甘みをタンニンが整え、ハーブの香りがワインのドライなニュアンスを引き出します。
牛すね肉を赤ワイン、トマト、セロリ、玉ねぎでじっくり煮込むギリシャ風コキニストもおすすめです。煮込んだ肉のゼラチン質とトマトの酸味が、ワインの果実味と酸を自然につなぎます。三つ目には、なすと合い挽き肉を重ね、ベシャメルソースを焼き色がつくまで焼いたムサカが挙げられます。なすの香ばしさ、ひき肉のコク、白いソースのまろやかさに、このワインの黒果実とスパイス感が寄り添います。さらに、黒オリーブ、パプリカ、フェタチーズを添えた豚肩ロースのオーブン焼きや、熟成ケファログラヴィエラなどの硬質チーズにも向きます。
生産者の所在地としてドラマが記されることの多いCosta Lazaridiですが、Oenotria Land Cabernet Sauvignon-Agiorgitikoの産地を読み解く鍵は、アッティカ州北部のカパンデリティ(Kapandriti)です。アテネ中心部から北東方向、マラトン周辺の内陸側に位置するこの町は、海の影響を受ける地中海性気候と、標高・夜間冷却による内陸的な表情が交わる場所です。
夏は乾燥して日照が豊富であり、ブドウは健全に成熟しやすい一方、標高と風が夜の気温を和らげ、酸を保つ助けになるとされています。こうした条件は、温暖な土地で成熟しやすいアギオルギティコに生気を与え、晩熟型のカベルネ・ソーヴィニヨンにはフェノール成熟へ向かう時間をもたらします。ネメアのように単一の原産地呼称でアギオルギティコを語るのではなく、アッティカのカパンデリティという場所で二品種を交差させることこそ、本銘柄の個性です。ドラマの生産者が、アテネ北方の畑から描くもう一つのギリシャワインの風景が、ここにあります。
本レビューは公開されている専門家評価・市場情報を AI が集約した推定値であり、執筆者による実飲に基づくものではありません。