ブルゴーニュの名門ドメーヌ・フェヴレイが手がけるシャサーニュ・モンラッシェ2018。温暖な年らしい豊かな果実味に、村の石灰岩質Terroirがもたらす張りと塩味が重なります。産地表記に混同されがちな点も含め、その魅力を読み解きます。

Domaine Faiveley(ドメーヌ・フェヴレイ)は1825年、ジョゼフ・フェヴレイによってニュイ・サン・ジョルジュに創設されたブルゴーニュの名門です。コート・ド・ニュイを基盤としながら、ジュヴレ・シャンベルタン、シャンボール・ミュジニー、コルトン、モンラッシェ周辺を含むコート・ドール各地に優良区画を所有・管理し、今日では大規模な自社畑を持つ生産者として知られます。
かつては長期熟成型で堅牢な赤ワインの印象が強かった一方、2000年代以降は畑ごとの表現をより明瞭にする方向へとスタイルを洗練させてきました。収穫時の選果、重力を生かした穏やかな醸造、樽使いの節度を重視する姿勢は、白ワインにも通じています。ネゴシアン的な調達力と、ドメーヌとしての畑への深い関与を併せ持つことが、フェヴレイの特徴です。
このChassagne-Montrachet 2018は、コート・ド・ボーヌ南部、シャサーニュ・モンラッシェ村のAOCに由来する辛口白ワインです。品種はシャルドネ100%。村名アペラシオンのため、特定のPremier Cruや単独Climatを冠するキュヴェとは異なり、複数区画のブレンドである場合があります。区画構成や新樽比率は年やロットで変わり得るため、個別ボトルの輸入元表示も確認したいところです。
村の東側から中腹にかけては、ジュラ紀由来の石灰岩、泥灰土、褐色土が複雑に重なります。モンラッシェ、バタール・モンラッシェ、シュヴァリエ・モンラッシェという著名Grand Cruの南側・周辺に連なる土地でもあり、白ワインには厚みと石灰質の緊張感が共存しやすいとされます。フェヴレイの白は、収穫後に房をやさしく圧搾し、澱を整えて木樽でアルコール発酵と熟成を行う伝統的な手法が基本です。フレンチオークは果実を覆うためではなく、質感と熟成の骨格を支えるために用いられ、通常は約12〜16か月を目安に樽内で育てられます。
2018年はブルゴーニュで温暖かつ日照に恵まれた年で、健全で充実した果実が得られたヴィンテージです。白では若いうちから親しみやすいふくらみを備えながら、良質な区画では十分な鮮度も保たれた年として評価される傾向があります。市場価格は流通状態や輸入元で差がありますが、約32,000円は村名シャサーニュ・モンラッシェとしては、フェヴレイの知名度と熟成を見込んだ価格帯といえます。
外観は、輝きのある中程度からやや濃いレモンイエロー。2018年らしく、若々しい緑のニュアンスよりも淡い黄金色の気配が表れやすく、グラスの内側をゆっくり伝う粘性にも熟度が感じられます。
第一香にはレモンの皮、白桃、熟した洋梨、青リンゴ、白い花が現れます。空気に触れるにつれて、アカシア蜂蜜、ヘーゼルナッツ、焼き立てのブリオッシュ、バニラを思わせる穏やかな樽香へと移ろい、石を打ったような火打石や濡れたチョークの印象が全体を引き締めます。アタックは丸く、完熟した柑橘と核果の果実味が素直に広がります。中盤ではクリームを思わせるなめらかなテクスチャーに、石灰由来の塩味と酸が芯を通します。余韻はレモンコンフィ、ローストナッツ、ほのかなミネラルを残して長く続きます。
飲用温度は10〜12℃が目安です。若い段階では冷やし過ぎず、提供後に温度を少し上げることで香りの層が開きます。すでに調和を楽しめる時期にありますが、適切な保管下では数年をかけて蜂蜜、ナッツ、きのこのような熟成香が深まる可能性があります。
豊かな果実味と石灰質の緊張感を併せ持つため、バターやクリームを使う料理にも、繊細な魚介にも寄り添います。たとえば、平目のムニエル 焦がしバターとケッパーのソースは、魚の甘みをワインの丸みが受け止め、レモンとケッパーの酸味が後味の塩味を際立たせます。
鶏胸肉のヴァン・ブラン煮 クリームとモリーユ茸添えも好相性です。鶏のしっとりした質感、きのこの土っぽい香り、ソースの乳脂肪分に対し、樽熟成由来のナッツ香と酸が自然に重なります。さらに、帆立貝のソテー カリフラワーのピュレとヘーゼルナッツ、または伊勢海老のロースト 甲殻類のジュを使った軽いソースもおすすめです。後者では、甲殻類の旨味がワインの熟した果実味を引き出し、樽のニュアンスを過度に感じさせません。チーズなら、若すぎないコンテやブリー・ド・モーを少量添えるとよいでしょう。
シャサーニュ・モンラッシェは、ディジョンの南、ボーヌを経てムルソー、ピュリニー・モンラッシェのさらに南に位置するコート・ド・ボーヌの村です。北隣のピュリニー・モンラッシェとともに、世界屈指のシャルドネの産地として名を馳せます。村の上部斜面には石灰岩が露出し、中腹には粘土と石灰岩が混じる土壌が広がります。標高、斜面の向き、母岩の違いが、Climatごとの表情を生みます。
とりわけLe Montrachet、Bâtard-Montrachet、Criots-Bâtard-Montrachet、Chevalier-MontrachetといったGrand Cru、Les Caillerets、Les Ruchottes、Morgeot、Clos Saint-JeanなどのPremier Cruが村の名声を支えます。なお、提示された「Chambolle-Musigny」はコート・ド・ニュイの赤ワイン名産村であり、この白ワインの産地ではありません。本銘柄の正しい地理的背景は、シャサーニュ・モンラッシェ村を中心とするコート・ド・ボーヌです。力強さだけで終わらず、石灰岩の冷涼な輪郭を残すことこそ、この地のシャルドネが食卓で際立つ理由です。
本レビューは公開されている専門家評価・市場情報を AI が集約した推定値であり、執筆者による実飲に基づくものではありません。