コルトンの丘に抱かれたクロ・デ・コルトン・フェヴレイは、ドメーヌ・フェヴレイが単独所有する稀有なグラン・クリュです。均整の取れた2017年は、深い果実味と石灰質由来の緊張感、歳月とともに現れる森の下草やスパイスの複雑さが魅力です。

ドメーヌ・フェヴレイは1825年、ピエール・フェヴレイによってニュイ・サン・ジョルジュに創設された、ブルゴーニュを代表する歴史的ネゴシアン兼ドメーヌです。自社畑を重視する生産者として規模・質ともに地域屈指の存在であり、コート・ド・ニュイからコート・ド・ボーヌ、メルキュレイを中心とするコート・シャロネーズまで、幅広いクリュを手掛けています。
とりわけ重要な転機は1874年、コルトンの名高い区画クロ・デ・コルトンを取得したことです。この畑は以後フェヴレイ家が守り続けるモノポール(単独所有畑)となりました。近年はエルワン・フェヴレイの指揮のもと、畑の精密な管理と過度な抽出を避ける醸造に注力。かつての長期熟成型の骨格を保ちながら、若いうちからもテロワールの輪郭を読み取りやすいスタイルへと洗練されたと評価されています。
正式には「Corton Clos des Cortons Faiveley」と表記されるこの赤は、ピノ・ノワール100%のグラン・クリュです。名称の中心であるクロ・デ・コルトン・フェヴレイは約3.8ヘクタールの壁で囲まれた畑で、コルトンの丘の中腹、アロース・コルトン側に位置します。なお、流通情報でシャンボール・ミュジニーと記されることがありますが、本銘柄のAOCはシャンボール・ミュジニーではなく、コート・ド・ボーヌ北端のCorton Grand Cruです。
石灰岩を多く含む褐色土と泥灰土、斜面の水はけ、丘の標高差が、力強さだけではない緊張感をワインにもたらします。収穫は手摘みで行われ、選果を経たブドウはヴィンテージの状態を見極めながら除梗し、温度管理下で発酵・醸しを進めます。新樽を含むフレンチオークでの熟成はおおむね16~18か月。樽香を前面に出すのではなく、コルトンらしい黒系果実、土壌のミネラル感、熟成耐性を形づくるために用いられます。
2017年はブルゴーニュ赤において、豊かな熟度と鮮やかな酸の均衡が魅力とされる年です。このボトルは、グラスでは中心部に深みのあるルビーからガーネット、縁にかけて明るい赤のニュアンスを見せます。若い段階では密度を感じさせる粘性があり、時間の経過とともに透明感も際立ちます。
第一香にはブラックチェリー、カシス、熟したラズベリー、スミレが現れ、続いて黒コショウ、クローヴ、ほのかな燻香、杉、鉄分を思わせる土っぽい気配が重なります。空気に触れることで、バラのドライフラワー、腐葉土、トリュフを連想させる熟成香がより表情豊かになるでしょう。アタックはしなやかでありながら芯があり、中盤では黒系果実の層と石灰質を思わせる引き締まったミネラルが広がります。タンニンは細やかですが量感を備え、余韻にはスパイス、土、酸の伸びが長く続きます。デカンタージュは若いボトルなら1~2時間を目安に、温度は16~18度が適温です。市場価格はおおむね55,000円前後が目安ですが、保管状態や流通量によって変動します。
このワインの骨格には、旨味を凝縮した肉料理と、根菜やきのこの土の香りがよく寄り添います。第一に薦めたいのは、鴨胸肉を皮目から香ばしくローストし、赤ワインとグリオットチェリーのソースを添えた一皿です。鴨の脂の甘みを酸が整え、果実とソースの風味が自然につながります。
鹿肉のローストにジュニパーベリーを利かせ、セップ茸のソテーを添える料理も好相性です。野性味のある肉の旨味に、コルトンらしい鉄分や下草のニュアンスが呼応します。牛ほほ肉のブルゴーニュ風赤ワイン煮込み、あるいは仔羊の背肉をローストして黒トリュフのソースを合わせる構成も有力です。チーズなら、熟成したエポワスは量を控えめに、またはコンテやブリア・サヴァランを選ぶと、ワインの繊細な香りを損ないにくいでしょう。
コルトンの丘は、コート・ドールの北から南へ続く斜面において例外的に東西へ張り出す独立感の強い地形です。アロース・コルトン、ラドワ・セリニ、ペルナン・ヴェルジュレスの3村にまたがり、丘の斜面にはCortonとCorton-Charlemagneという二つのグラン・クリュが展開します。クロ・デ・コルトン・フェヴレイはアロース・コルトン村域のCorton Climatにあり、フェヴレイがその全区画を所有しています。
丘の上部には白のコルトン・シャルルマーニュを生む白色石灰岩が目立ち、中腹から下部にかけては粘土や泥灰土が増し、赤のコルトンに力と深みを授けます。クロ・デ・コルトンでは石灰質がもたらす直線的な酸と、粘土質が支えるタンニンの厚みが交差します。冷涼な大陸性気候のもと、年ごとの日照や降雨を明瞭に映しながらも、長い時間を経て真価を示すのがこのGrand Cruの持ち味です。2017年は現在でも楽しめますが、適切なセラーでさらに10年以上の熟成を視野に入れられるポテンシャルを備えています。
本レビューは公開されている専門家評価・市場情報を AI が集約した推定値であり、執筆者による実飲に基づくものではありません。