E.ギガルのラ・ランドンヌは、コート・ロティの急斜面にある同名のリュー・ディから生まれるシラー100%の赤ワインです。黒い果実、燻香、鉄分を思わせる複雑さと、長期熟成に耐える緻密な構造が、この2018年を印象づけます。

E. Guigal(E.ギガル)は、エティエンヌ・ギガルが1946年、北ローヌのアンピュイに創業した生産者です。コート・ロティの中心地に本拠を置き、現在は息子のマルセル、孫のフィリップへと受け継がれる家族経営の名門として知られます。マルセル・ギガルは17歳でドメーヌに加わり、畑の取得と長期の樽熟成を軸に、産地の評価を国際的に押し上げた立役者の一人とされます。
とりわけ象徴的なのが、単一区画の「ラ・ラ」と呼ばれるコート・ロティです。1966年初ヴィンテージのラ・ムーリーヌ、1978年初ヴィンテージのラ・ランドンヌ、1985年初ヴィンテージのラ・テュルクは、それぞれ明確に異なるTerroirを表現します。ギガルはネゴシアンとして優れたローヌワインを幅広く手がける一方、自社畑のトップ・キュヴェにおいては、収量、成熟、樽育成のすべてに徹底して向き合う造り手です。
ラ・ランドンヌは、アンピュイ村に広がるコート・ロティAOCの北寄り、一般にコート・ブリュヌと呼ばれるエリアにある名高いLieu-ditです。ギガルはこの急峻な斜面にまとまった区画を所有し、ラ・ランドンヌ 2018にはシラーを100%用います。ヴィオニエを少量併醸することもあるコート・ロティのなかで、シラーのみで土地の力強さを描く点が、この銘柄の重要な特徴です。
畑は日照を確保しやすい南から南東向きの斜面にあり、鉄分を含む暗色の片岩や粘土質を伴う土壌が、ワインに黒系果実、スモーキーさ、緊張感のある骨格をもたらすと言われています。ブドウは手摘みで収穫され、除梗後、温度管理されたステンレスタンクでおよそ4週間かけて発酵・醸しを実施します。その後、フレンチオークの新樽で約42カ月という非常に長い熟成を行います。新樽の存在感を隠すのではなく、豊かな果実と分厚いタンニンに溶け込ませ、時間とともに統合させることがギガルの醸造哲学です。
外観は中心部がほぼ黒に近い濃いルビーから紫がかったガーネットで、グラスの縁にも若々しい色調が残ります。粘性は高く、凝縮度の高さが視覚からも伝わります。第一香ではブラックベリー、カシス、黒スグリのリキュール、スミレが現れ、続いて黒胡椒、オリーブ、燻製肉、鉛筆の芯、鉄、焙煎したコーヒー豆を思わせる香りが重なります。時間とともに新樽由来のバニラ、杉、カカオ、クローヴが果実の奥からゆっくりと開いてきます。
口に含むと、アタックは濃密でありながら輪郭が明瞭です。熟した黒系果実の甘やかさを、シラーらしい黒胡椒の刺激、豊かな酸、きめ細かく量感のあるタンニンが引き締めます。中盤には肉の旨味や土っぽいミネラル感、ダークチョコレートのほろ苦さが加わり、単なる力強さでは終わらない多層性を見せます。余韻は非常に長く、スパイス、煙、黒鉛、塩味を思わせる印象が持続します。温暖で乾燥した2018年は、北ローヌで成熟した果実と十分な構造を得た年と評価される傾向があり、このワインにもその充実感が表れています。若いうちはデキャンタージュが有効で、熟成によるさらなる複雑化も期待されます。
ラ・ランドンヌ 2018には、ワインの密度に釣り合う香ばしさと脂、あるいは煮込みによる旨味を備えた料理が向きます。まず、仔羊の背肉をローズマリーとニンニクでマリネし、炭火で焼き上げる一皿は、シラーの黒胡椒やハーブのニュアンスと美しく響き合います。赤ワインとフォンでじっくり煮込んだ牛ほほ肉のブレゼは、タンニンをなめらかに感じさせ、ワインの肉感を引き立てます。
野趣を楽しむなら、鴨胸肉のローストにカシスとジュのソースを添える組み合わせも有力です。さらに、黒トリュフを散らした鹿肉のロティ、あるいは熟成コンテやエポワスなど、旨味の強いチーズもよく合います。提供温度は16〜18度を目安にし、若いボトルは大ぶりのグラスで空気に触れさせると、香りの層がより明瞭になります。国内市場では約30,000円が一つの目安とされますが、流通量や保管状態によって価格差が生じます。
コート・ロティAOCは、リヨンの南、ローヌ川右岸に沿ってアンピュイ、サン・シール・シュル・ル・ローヌ、テュパン・エ・スモンの3コミューンにまたがる北ローヌ最北の銘醸地です。名称は「焼けた丘」を意味し、川へ落ち込むような急斜面が日差しを受け止めます。大陸性気候を基調としながら、ローヌ川の反射光と斜面の蓄熱がブドウの成熟を助け、北から吹く冷涼な風が酸と香りを保ちます。
産地はしばしば、北部のコート・ブリュヌと南部のコート・ブロンドに大別されます。淡色の花崗岩や片麻岩を多く含むとされるコート・ブロンドに対し、ラ・ランドンヌを擁するコート・ブリュヌは暗い片岩、鉄分、粘土を伴い、より筋肉質で長命なワインを生む傾向があります。ただし両者の境界は単純ではなく、畑ごとの地質、標高、向き、表土の厚みが個性を左右します。ラ・ランドンヌは、この複雑なClimatの差異を、シラーの深い果実味と峻厳なミネラルによって雄弁に伝える存在です。
本レビューは公開されている専門家評価・市場情報を AI が集約した推定値であり、執筆者による実飲に基づくものではありません。