イタリア語圏のスイス、ティチーノ州でメルロの可能性を磨いてきたグイド・ブリヴィオ。リフレッシ・デポカ2022は、熟した黒果実、スパイス、樽由来の複雑さを重ね、南アルプスの光と冷涼さを映す赤ワインです。

Guido Brivio(グイド・ブリヴィオ)は、スイス最南部のティチーノ州、イタリア国境に近いメンドリージオを拠点とする生産者です。1980年、創業者グイド・ブリヴィオが自らの名を冠して始めたワイナリーで、ティチーノを代表する黒ブドウ、メルロを中心に、地域の多彩な畑の表情をボトルへ移すことを軸としてきました。
ティチーノでは19世紀末、フィロキセラ禍後の再建品種としてメルロが広がり、今日では州のブドウ畑の大部分を占めます。そのなかで同社は、単に豊かな果実味を得るのではなく、畑ごとの成熟度、酸、タンニンの釣り合いを重視する造り手として知られます。果実味を生かした親しみやすいキュヴェから、樽熟成によって熟成力を備えた上級レンジまでを手がけることが、地域内での重要な位置づけにつながっています。メンドリージオを拠点に、南ティチーノの栽培農家との結び付きを育みながら、メルロを国際品種ではなく土地の品種として表現してきた点が、同社の代表的な歩みです。
「Riflessi d'Epoca」は「時代の反映、時のきらめき」を思わせる名を持つ、Merlot del Ticino DOCの赤ワインです。品種はメルロ100%。ティチーノ、とりわけメンドリージオ県を含むソットチェネリ地区の、日照を得やすい丘陵・扇状地の畑が、このワインの骨格を支えます。ロットごとの詳細な区画名は常に前面へ掲げられるわけではありませんが、石灰分や粘土を含む土壌、アルプス由来の風と南からの温暖な影響が交差する環境が、メルロに熟度と緊張感をもたらします。
醸造では、除梗した果実を発酵させ、果皮との接触によって色調とタンニンを丹念に抽出するスタイルです。公開されている生産者情報では、発酵後にフレンチオークの小樽で熟成させ、果実の輪郭にトースト、甘いスパイス、森の下草を重ねる方針が示されています。樽は主役ではなく、メルロのなめらかな質感と熟成の複雑さを引き出すための要素です。2022年は、温暖な生育期による果実の充実感を持ちながら、ティチーノらしい酸の表情をどこまで保てているかが注目点となります。
グラスでは、縁に若々しい紫のニュアンスを残す、濃いルビーからガーネット寄りの赤が想定されます。粘性は中程度以上で、凝縮した果実味とアルコールの充実を視覚的にも感じさせます。第一香にはブラックチェリー、熟したプラム、カシス、スミレが現れ、空気に触れるにつれてシダー、クローヴ、カカオ、ほのかなバルサミコや腐葉土の気配が開いてきます。
アタックは丸く、よく熟した黒果実の甘やかな印象から始まります。中盤ではメルロらしい滑らかなタンニンが広がり、酸が果実の密度を引き締めます。樽由来のロースト香は過度に前へ出ず、土っぽいミネラル感とスパイスが味わいに陰影を加える構成です。余韻にはダークチョコレート、黒オリーブ、乾いたハーブを思わせるほろ苦さが続くでしょう。若いうちはデキャンタージュで香りをほどき、数年の瓶熟成でタンニンと樽香の一体感を待つ楽しみ方も適しています。
このワインには、メルロの肉付きと酸を生かせる、焼き目や煮込みの旨味を持つ料理がよく合います。第一に、仔牛すね肉を赤ワイン、フォン、香味野菜でじっくり煮込むオッソ・ブーコ風の煮込みです。ゼラチン質の豊かな口当たりが、ワインのなめらかなタンニンと自然につながります。
炭火で香ばしく焼いた鴨胸肉に、黒チェリーと赤ワインのソースを添える一皿も好相性です。鴨の脂と果実のソースが、ワインの黒系果実とスパイス香を引き立てます。さらに、ポルチーニ茸と牛肉のリゾット、または牛ほほ肉のブラザートもおすすめです。きのこの土っぽい香りと煮込みの深い旨味が、熟成樽由来のカカオや下草のニュアンスを受け止めます。チーズなら、ほどよく熟成したタレッジョやアルペンチーズを選ぶと、塩気が余韻を引き締めます。
DOC Ticinoはティチーノ州全域を対象とする原産地呼称ですが、Guido Brivioの本拠メンドリージオは、ルガーノ湖の南に広がるメンドリージオ県、すなわちソットチェネリの核です。周辺にはメンドリージオ、コルドレリオ、ジェノレストリエリ、スタービオ、リゴルネット、ラーニョといった村々が連なり、なだらかな斜面、沖積土、石灰質や粘土質を含む多様な地質が見られます。
北にはアルプスの冷気があり、南からはロンバルディア平原と地中海的な温暖さの影響が届きます。夏は日照に恵まれますが、山と湖がつくる気流、標高差、夜間の気温低下が酸を保つ助けになるとされます。年間を通じて降水量も少なくなく、畑では樹冠管理と収量管理が品質を左右します。ボルドーを起源とするメルロが、丸みだけでなく鮮度、ハーブ、石を思わせるニュアンスを備えることこそ、メンドリージオ周辺を含むティチーノのTerroirの魅力です。リフレッシ・デポカ2022は、その境界の土地が生む豊かさと端正さを、樽熟成を通して見つめた一本といえます。
本レビューは公開されている専門家評価・市場情報を AI が集約した推定値であり、執筆者による実飲に基づくものではありません。